今朝Twitterをみていたら、興味深い記事がノルウェーの新聞Aftenpostenに載っていることが解ったので訳してみました。
「何年前の話だよ」と言いたいところですが、実際にその通りなのが悲しい。

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http://www.aftenposten.no/okonomi/Japanske-kvinner-velger-heller-jobb-enn-barn-8204267.html

日本人女性は子供より仕事を選ぶ

もし、一人あたりの出生率が2以上にならなければ、2060年までに日本はその人口の2/3を失うリスクがある。鶴岡ひろこさんは月曜の朝会社で、赤くかきむしった発疹の出ている3歳の子供のことをずっと考えていた。同時に、翌週に4日も休みをとることになる罪悪感に苛まされ、来週にはどうか水疱が消えてくれますようにと願った。彼女は上司に頼み、家に帰らせて貰った。

 事実:日本の女性は子供を諦めている
日本の人口は今、1億2700万人である。通常、女性は子供を持つと仕事をやめてしまう。女性は結婚を諦めるか、子供を一人だけ持つことを長い間待つか選ぶことになる。日本女性の出生率は1.4(ノルウェーは1.76)。この低い出生率が続けば、日本の人口は2060年には8700万人まで減るとみられている。

子供は元気になったが、次の月曜に彼女が見たのは、机の上にある封筒だった。解雇通知だった。
幼い子供との数年で、彼女は5回も転職をする羽目になった。そのうち2回は、病気になった子供の世話でクビになったのだ。彼女は雇用主に不服を申し立てたが、彼女が友人や家族に法的な処置をとることについて聞いたところ、周りは「ダメよ」と答えた。

失うのは馬鹿だ

「彼らは、私に新しい仕事を探して忘れてしまいなさいとアドバイスしたわ。裁判したって、とても長くかかるし、大変だかし、何も変わらないからって。彼らは、私が負けるって確信していたの」 彼女はDagbladetスウェーデン版にそう説明した。
彼女が最初の子をもうけたのは、もう16年も前の事だ。そして、5年前、彼女は3人目の子を出産した。「その間多くのことが変わったけど」と、彼女は言う。でも、キャリアを続けたい母親の上司にあたる人達は、以前と変わらぬ頭の持ち主であり、それが日本の仕事生活と深く結び付いていると。
結婚したら仕事を辞める
「日本では仕事と家庭の両立は、強い心と強い意思がないとやっていられません。私たちは仕事のときも、母であるときも、四六時中、周りを気にしないといけないのです。」と、鶴岡さん。「だから、多くの女性は家族ができたら、仕事をやめてしまいます。なかには結婚と同時に辞める人もいます」

もし、日本の女性に”なんで仕事を辞めたのか”と聞けば、殆どは”自分の意思で辞めた”と言うだろう。だが、その背景には、上司によって辞めることを強制されたり、薦められるという現実がある。(出産で)仕事を辞める女性の実に1/4が、子供と仕事の両立をしたいと思ってはいるが、その二つの両立の難しさから、仕事を辞めざるを得ないように仕向けられてると感じているのだ。

パートタイムと収入減

一橋大学経済研究所の児玉直美准教授によると、女性が仕事に戻るのは通常、3歳もしくはそれ以上になってからだという。
「そして、戻る先は給与の安いパートで、おそらくサービス業でしょう。女性は、自分がかつていた職種ではなく、異なるタイプの、異なる職業、異なる会社に戻るのです。」
学生である長谷川まりこさんと山室みゆさんは、日本の職場での不平等において、どのように、彼らが自分のライフプランを立てるのかとういのを演じて見せた。彼女達は、就職を前に、数年を大学で過ごしているが、長谷川さんはここ数ヶ月を面接で費やしたという。彼女は3件のオファーがあったが、そこから選ぶのは簡単だったと言う。
「私は男性と同じように働いて給与を得たい。でも、日本の会社ではそれが無理だから、日本にある外資系を選びました」

家族は作らない

山室さんは、違う道を選んだ。彼女の母のような、仕事と家の世話をすべて引き受ける運命を避けるために。

「私は家族を持たないつもり」と、彼女は言う。その決心に至ったのには理由があり、それ故に、彼女は自分の主張を変えるつもりはないと言う。
「私の母は四六時中忙しかった。彼女は全てをやっていたわ。洗濯、掃除、食事の用意。彼女が病院で長時間働いてるのにも関わらず、父は帰宅したらテレビを見てるだけだったわ。私はそうはなりたくない。だから、自分の家族を作ろうとは思わないの」
児玉直美准教授によると、状況は時間をかけて変わってきているという。最近では以前に比べ、家族を得たことによって仕事をやめる女性は減っているということだ。

子供を諦める

「でも、それは仕事と家庭の両立が簡単になったからというわけではないのです。主な原因は女性が結婚しなくなったからです。彼女達は子供や家族を持つことについて否定的です。これの意味するところは、日本人女性の一部は、最早子供は欲しいと思わなくなったということです。かつては沢山の子供に囲まれた家族を考えていた人達がいたにもかかわらず、一人しか産めない状況が長すぎたとも言えるかもしれません」
日本の平均出生率は1.4だ。ノルウェーでは2014年度の統計で1.76、スウェーデンでは1.9だ。この調子で進めば、日本の人口は、2060年までに1億2700万人から8700万人まで減少するだろう。別の言い方をするなら、あと50年の間に人口の2/3を失うということだ。

首相のウイメノミクス

日本の厳しい経済学者の多くは、高齢化と人口の問題がこの国の最大の経済問題であることを認めている。児玉直美准教授は、仕事と家庭の両立ができれば、出生率が2以上になることを確信している。それは安倍晋三首相のアベノミクスの改造版、「ウイメノミクス」と呼ばれるものによる。
安倍首相の目標は2020年までに役職の30%を女性が占めることだ。そこにいきつくまでの道のりは、まだまだ長い。
• 現在の女性の役職につく割合は11%ほどだが、やめることなく働き続けている女性は3%に過ぎない。
8月の終わりに、安倍首相は、女性を雇用することおよび役職に就けることを事業主に命令した。これは、301人以上の従業員のいる会社に対し、女性をどのように活用するかについて計画を立てることを強制するものだ。児玉直美准教授は、この政策は有効に働いていると考える。
「文化が改善するなら、会社の年寄りの態度を変える必要があります。安倍首相は、会社のトップ層に伝達するのが得意ですから。」

目に見えぬ待機児童の壁

3人の子の母である鶴岡さんは、それでも、働きたいと願う母親たちにとって、保育所の不足は最大の壁であると言う。先週、安倍首相は、彼の将来にわたる最優先課題である保育に関する援助を増やすとした。多くの人がその助けを待っている。東京では、待機児童が7814人もいるのだ。
鶴岡さんは、また、多くの会社が、働く時間をフレキシブルに提供してくれることを願っている。
「子供を持つこととは本来、喜びと結び付いているべきものだ。でも今は、子供を持つことは、多くの場合、摩擦となってしまっている。フレックスタイムの持つ、より大きな可能性は子供を人生の邪魔ものである状態から、変えることができるだろう」
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自分が就職したのは、1993年。今から22年前になります。
その1年前でしょうか、バブル時期に就職した女性の先輩から、話を聞いたことがあります。
彼女は建設業でOLをしていましたが、だいたい就職して3年目で辞める人が多いこと、結婚したら辞めることがあたり前だという話をしていました。
そして、あまり長くいると「結婚しないの?」と聞かれて、居づらくなるということも。

実際、今では考えられないかもしれませんが、就職試験の面接で「結婚しても続けるかどうか」というのは、長く続けたい女性にとっては大事なキーワードでもありました。
今でも覚えていますが、就職の面接で「結婚しても続けられるか」という話をしました。話の流れで、自分から聞いたのかあちらから言われたのかまでは覚えてないのですが。
私は「結婚しても続けたいと思っています」と言ったところ、当時の社長から「女性社員には、結婚してもは勿論、子供ができても働き続けて欲しいと思っています」と言われました。その時、とても感動したのを覚えています。

でも、やっぱり子供が出来ても働き続けるというのは、記事にもあるようにメンタル的にもかなりキツイものがありました。
まず、結婚して直ぐの頃、残業していたら、当時の上司にこう言われました。
「君、残業していいの?旦那さんのご飯作らなくていいの?」
残業していいのっていうか、そもそも、その残業はその上司が全く打ち合わせの内容を理解してないことに端を発することだったので、かなり腹が立ちました。
子供が出来てからの復帰は、まず「開発」から外されました。今にして思えば、子供がいると残業ありきの部分が否めない「開発」という仕事は難しい部分もありますし、実際、その後のことを考えると戦力外だったことは容易に想像できますが、当時、プログラムを作ることがとても楽しくて大好きだった自分は、育児休業中もプログラムの勉強をしていたこともあり、この「開発でない」という状況は、かなりのショックでした。

復帰してからは、保育園からの呼び出しで有給休暇はあっという間になくなりました。会社は、フレックスタイム制ですし、「午前半休」という制度があったので、それでも少しはマシだったと思いますが、初年度は4月に復帰してフルで残っていた有給が10月の支給を待たずして消えました。それでも子供の病気は待ってくれないので、看護休暇(無給)を取り、無給休暇を取ることで、当時の制度にあった「奨励金」という名の給与の一部が出なくなりました。(1万円ほどです)。

こうなってくると、兎に角「居る間」はしっかりやらなくてはいけません。しかし、ここにきて実感したのは、「自分がどれだけ残業に依存していたか」ということです。子供が5月生まれというラッキーもあり、1歳になる5月からは延長保育で19:15まで見て貰うことが出来ました。それでも、会社から自宅付近の保育園までは1時間弱かかり、18:20には会社を出なければ19:15のお迎えには間に合いませんでした。
それまで10:00-19:00が通常勤務帯だったのを9:20-18:20にすることは難しくありませんが、保育園の送り迎え両方とも自分がやっていたこともあり、10:00出社になることも多かったです。なので、月に何回かは夫に頼んで、迎えをしてもらい、勤務時間が不足しないようにしました。
飲み会なんて好きなのに毎回断っていたら、そのうちに、呼ばれなくなりました。これも仕方ないけど、「お前の居場所はこの部署にはない」と言われているかのように感じました。
それなのに、夫は飲み会にいって帰ってくるので羨ましくて腹が立ちました(笑)
そして、何より変わったのは働き方です。兎に角、残業は基本的に出来ないですから、自分の感じ方としては「一日に裁ける仕事の量が1/3になった」と感じました。

集中力の波は誰でもあると思います。そして、その波に乗ってるときほど、仕事が上手く流れる。通常ならその波に乗っていれば「きりのいいところ」まで出来る。でも、保育園にお迎えに行く以上、「きりのいいところ」までは出来ず、「今からやり始めるには間に合わない」こともあれば、「きりはよくないけどここまで」みたいなことも。
そうすると翌日、その「きりのわるいところ」から始めるのでやりにくい…というような状態。時として、「お子さんがいつもはいっぱい食べるのに、今日の給食はあまり食べませんでした」なんていう電話もありました。
これは、保育園の給食担当の人が凄くいい人で、いつも食べまくりの長男を心配してくれたことによるもので、今でもとても感謝していますが、保育園からの「お子さんの熱が37.5度(保育園ではこれ以上の熱になると預かってくれません)になりました」電話や「お腹をこわしました」電話で、集中力が切れることも多々ありました。

当時の心境としては、ボス戦が終わったらまたボス戦、いつまでもボス戦が続いていつか過労死するだろうと思っていました。
会社で戦い、保育園に向かう時間と戦い、家にかえればご飯作りの戦い、それが終わったら食べさせる戦い、風呂は兎も角として寝かしつける戦い、やっと寝たと思ったらまた起きたので再度戦い…という感じです。

子供との時間を戦いだなんて思いたくないのに、戦いになってしまうのです。記事中に出てきた母親と父親の様子というのは、実際ありがちなパターンだと思いますわ。

二人目のときは、職場に在宅勤務も出来ましたし、長男のときより更に恵まれた環境でした。
でも、今度は二人居ることで、あっちもこっちもとなり、余計休まらなくなりました。
本当にどうしようもなくて、幸い、会社の近くに女性専門のカウンセリングがあったので、昼休みに通えたことがラッキーでした。それが、少し楽になったのは、会社で、両立している先輩をメンターとして紹介してもらえる制度が出来たからでした。

安倍首相は、女性が活躍する世界をというけれど、年金問題も何もかも女性が働けばどうにかなるという考え方は、私は好きになれません。勿論、働きたい女性が働けない状況はおかしい。そして、その状況こそが、出生率の低下の原因だというのには100%同意しますが、頑張ってる人にこれ以上頑張れって言ってどうするの?と思います。
政策として待機児童の解消や、役職の数値目標などは良いことですが、「子育ては女性だけの仕事じゃない」ということを忘れないで欲しいですね。ノルウェー語の教科書で以前知った情報ですが、ノルウェーの学校の保護者会は夕方からなんですよね。
会社が終わってから行けばいい(会社が終わるのも早いけど)。そこで休みを取る必要はないわけです。
でも、今の保護者会はたいてい放課後すぐ。14:30からとか15:00からとか。
これに間に合わせるには、会社を早退するか休むかどちらかです。
ただでさえ、子供の不調で休まなくてはいけないのに、保護者会にいかなければ、学校の様子もわからないというジレンマ。

残業ありきでの仕事文化や、会社に長時間いることこそキャリアだという誤った認識、そして子供をもつ女性なら学校が呼び出せばいつでも来てくれるよね、保護者会の時間なんて変える必要ないよねというところも変わらなければ、出生率はそう簡単にあがらないと思います。
正直、そこを変えないで女性に「働いてね、家事も子育ても全部よろしくね」になったら、女性の平均寿命はそのうち男性以下になるだろうし、主な死亡原因は過労死か自殺になるのではないかとすら思えます。
そもそも、男性が子育てしたくても家に早く帰ると評価が不利になって、世帯収入が減ることになったりする風潮のままだと、どれだけ制度だけ充実していても、「また一人で抱え込まされるのか」というところで、出生率は増えない気がします。


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Tomoko

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Morten Harket.jp (http://www.morten-harket.jp/)の中の人。 二児の母で、フルタイム勤務しつつ、ノルウェー語の勉強をしています。 現在、NORLAからサポートを受け、ノルウェー語の詩の翻訳を実施中。
カテゴリー: Working Mother

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