東京医大の、女性および四浪以上の浪人生に対する不正が、ノルウェーの新聞aftenpostenにも掲載されました。
この新聞は以前にも、「日本人女性は子供より仕事を選ぶ」という記事を掲載しているので、近いうちに掲載されるだろうとは思っていました。(リンク先は、aftenpostenの記事ではなく、その記事の和訳も含めた当ブログの記事です)

さて、東京医大の件で、ツイッターでは女性の怒りの声が多く聞こえましたが、とある漫画家さんが「女性の被害妄想もあるのではないか、今は過渡期」というようなことを仰っていて目を疑いました(現時点でその呟きは削除されています)
確かに彼女の漫画は、専業主婦指向だとは思っていました。しかし、過渡期って……被害妄想って……
ああ、この人は、働きながら子育てすることとか、キャリアを積みたいのにできないジレンマとか、そういうのとは無縁に生きてるのだなとある意味羨ましくなりました。

1985年、私が『Take On Me』のモートンに一瞬で落ち英語の勉強を頑張ろうと気合いを入れていた頃、テレビでは「夕焼けにゃんにゃん」という番組が夕方から女子高生のシャワーシーンでオーディションを行い、そこで出来たアイドル『おにゃんこクラブ』が芸能界を席巻していて第一次秋本康ブームでした。
歌謡界がおにゃんことジャニーズだらけで、松田聖子はNYに進出するし、つまらないから周りが洋楽にどんどん引き込まれていきました(私もそれです)。
ちなみに、ジャニーズでは、前年までシブガキ隊推しだった事務所が、急激に少年隊推しになった年でもあります。
その年に、制定されたのが「男女雇用機会均等法」でした。
そう、秋元康が女子高生のオーディションを番組で行い、シャワーシーンまで出てくるような時代に出来たんですよ。この法律は。
制定は85年なものの、実際の施行は86年からということで、ちょうどバブル期入口あたりでしょうか。

87年には、疲れて帰ってくるOLが『しばづけ食べたい』というCMが流行り、90年代になると、女性一人で飲みに行ったりする「オヤジギャル」が流行語になり、その頃の女性誌といえば、今のように「女子力」とかは出てこず、「カッコイイ女になる!」という見出しが躍っていました。
私もカッコイイ女性になりたいなと憧れたものです。その反面、大学三年のときにお茶した私より二つ上の、重機系大企業に就職した先輩は、「早く結婚しないとクビになっちゃう。女の子はお嫁さん候補だから、3年経って結婚してないと退職になるの。どうしよう」と、嘆いていました。

私が就職したところは、そういうことはなく、子供を生んでも続けられますが、やはり時代背景というのはあって、出産すれば評価は最低で昇級は10年遅れています。
子供達を自分の保険証の被保険者にするのも、家族手当の申請も、「女性社員が」やるのは初めてだったらしく、非常に大変でした。
そんなこともあり、多分、私の世代というのは、「男女雇用機会均等法が、やっと機能し始めた世代」なのだと思います。

自分にとって、一番強烈に覚えてるのは、この裁判です。

女性労働訴訟で歴史的和解:住友電工裁判

すごく嬉しかったです。これ以降、出産した女性を事務系に配置換えするなども含め、差別であることがはっきりと認識されていったように感じました。
私はこのとき初めて、「ああ、今は過渡期なんだな」と思ったのです。2004年です。

あれから14年。たとえば「看護婦」という言い回しは「看護士」になり、「スチュワーデス」は「キャビンアテンダント」になりました。
そして、女性の管理職がいてあたり前を作ろうという時代になってきて、「よし、来た」と思っていたところで、おかしな雰囲気が生まれました。

2009年の流行語「女子力」。この頃ですかね、ある講演会で『実は専業主婦希望が増えている』というのを耳にしました。曰く、「家事も仕事も女性ばかり大変なのは嫌」という女子大生が増えたとか。つまり、彼女の周りの大人の女性が、みな大変そうなのをみて「ああはなりたくない」と思われたのです。

過渡期だから? 
私は寧ろ、女性が管理職になる時代になって男性が女性を追い出しにかかったのだと感じました。
女子力という言葉は安野モヨコだとしても、その言葉を流行らせる社会の決定権は男性が持っているからです。

そして、安倍さんが総理になって「女性活躍」と言い始めてから、状況はどんどん気持ち悪くなりました。
女性に活躍せよという一方で、子育ては母がやるべき、同居すべき、食育に力をいれるべき、やっぱり女子は女子力が必要だよねという、「お前、女性はサイボーグか魔法のランプかよ」とい言いたくなるような物言い。
変な液体をかけるとか、女性専用車両に乗って攻撃するという変な事件の増加。

aftenpostenを読んで「ジェンダーギャップが年々下降している」というので、ふと、自分の仮説(安倍総理が女性活躍と言い始めてから女性差別が酷くなった)は正しいのではないかと検索してみました。

順位政権詳細
2006年80位安倍内閣(自民党)http://www3.weforum.org/docs/WEF_GenderGap_Report_2006.pdf
2007年91位安倍→福田内閣(自民・公明)http://www3.weforum.org/docs/WEF_GenderGap_Report_2007.pdf
2008年98位福田→麻生内閣(自民・公明)参考:http://www3.weforum.org/docs/WEF_GenderGap_Report_2008.pdf
2009年101位麻生(自民・公明)→鳩山内閣(民主)※9月交代参考:http://www3.weforum.org/docs/WEF_GenderGap_Report_2009.pdf
2010年94位鳩山→菅内閣(民主・社民・国民新党)参考:http://www3.weforum.org/docs/WEF_GenderGap_Report_2010.pdf
2011年98位菅内閣(民主・国民新党)→野田内閣(民主・国民新党)参考:http://www3.weforum.org/docs/WEF_GenderGap_Report_2011.pdf
2012年101位野田内閣(民主・国民新党)→安倍内閣 ※12月に交代参考:http://www3.weforum.org/docs/WEF_GenderGap_Report_2012.pdf

参考サイトにあるもっとも古いデータは2006年なのでそこから。
2006年、安倍第一次内閣の頃は80位でした。住友重工裁判があって和解した後、女子力前ですね。
しかし、驚いたことにたった1年で11位も落ちています。ちなみに、安倍さんの前は小泉さんなので、小泉さんの施策であがっていた可能性もあります。
まあ、母数も増えてるんですけど。
一番低いのは鳩山さんがなった年と野田内閣最後ですが、2010年は9月に政権交代なので、実質、麻生さんの影響が大きいと思われます。
偶然にも101位にはじまり101に終わったのが民主政権だったようです。

順位政権 ソース
2013年105位安倍(自民・公明)
http://www3.weforum.org/docs/WEF_GenderGap_Report_2013.pdf
2014年104位安倍(自民・公明)
http://www3.weforum.org/docs/GGGR14/GGGR_CompleteReport_2014.pdf
2015年101位安倍(自民・公明)
http://www3.weforum.org/docs/GGGR2015/cover.pdf
2016年111位安倍(自民・公明)
http://www3.weforum.org/docs/GGGR16/WEF_Global_Gender_Gap_Report_2016.pdf
2017年114位安倍(自民・公明)
http://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2017.pdf

私の仮説はほぼあっていたようですね。安部政権になってから99位にすらなっていません。最高が101位(2015年)です。
ウイメノミクスを提唱したのが2014年ですから、その影響であがっているのではないかと思われます。
でも、翌年には111位ですね。というわけで、正しくはウイノメミクスを言い始めてからいっきに酷くなった、でした。

女子力という言葉の流行について、「私は寧ろ、女性が管理職になる時代になって男性が女性を追い出しにかかったのだと感じました」と前述しましたが、まさにその通りの反応です。
活躍してほしくない層がいるわけですよ。
それでもまだ、「過渡期だから」と言わなくてはいけないでしょうか。

「過渡期だから仕方ない」の言葉で、本当は合格していたのに不合格にするのは正しいでしょうか?

たとえば、新しいルールやシステムを導入する場合、一時的な措置として前のを引き継ぎながら、徐々に新しいものに慣れていくというのはよくあります。
でも、私が最初に「過渡期なのかな」と感じてから、既に14年経ちますが、もっというと、男女雇用機会均等法が制定されて、30年以上経ちますが、未だに「過渡期」からは抜けられていないのです。

私は子供の頃から、「手に職を持たないと、結婚で失敗したときに経済的な問題で離婚できなくなる。だから手に職を持ちなさい」と言われてきました。
そして、実際手に職をもって現在は、働く母です。
昔は男女共働きが珍しく「鍵っ子」という言葉がありましたが、今はそれも死語。共働き家庭がとても多くなっているのに、小学校の保護者会の終わり時間は決まっておらず、それも平日の14時とか仕事があると出席できない時間のまま。
高度成長期から社会システムはまるで成長していなくて、男性の意識も専業主婦があたり前だった時期やセクハラあたり前だった時代からあまり成長していない。
私は今、娘がいますが、彼女には『手に職を持て』ではなく、「日本はもう駄目だから英語とか外国語をしっかり勉強しなさい」と伝えています。

娘を産んだときは(2006年)、娘が大人になる頃には、女性差別なく働けて評価される時代になっているかもと思ったんですが、ここ数年をみると、無理そうです。
なにせ、子供を産めないということを「生産性低い」と、まるで家畜のように言う議員がいますしね。しかもそれ、注意だけで済む国ですしね。

ところで、このレポート。特徴的なのがグラフ。2017年から抜粋しますけど、毎年こんな感じ。

教育・健康方面では男女差はあまりないように見えるものの、経済も低いし、政治にはまるで女性の影がありません。
酷いものですね。

更に、一見、ばっちりに見える「教育」についても2017年度のをみると、大学になると話は別でランクは101位です。中高の進学の平等なら1位なのにね。
今回問題になった、東京医大の件だって、勿論これにとても貢献していると思われます。
まあ、今回この問題が発覚したのがどう影響するかはわかりませんが、更に順位は落ちそうですよね


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Tomoko

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Morten Harket.jp (http://www.morten-harket.jp/)の中の人。 二児の母で、フルタイム勤務しつつ、ノルウェー語の勉強をしています。 現在、NORLAからサポートを受け、ノルウェー語の詩の翻訳を実施中。
カテゴリー: Working Mother

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